インドネシア報告(20) テスト走行 2009/4/4

 2月までは強い西風が吹き、海は荒れる。雨がしつこく降り、様々な災害を引き起こす。昨年も10月の初めに大洪水がおこり、私たちが竹を取りに行ったアルー村でも大洪水で、10人の死者もだした。村が蛇のように蛇行する流れの内側にあったので、一気に半分の家が潰された。

 3月になると、雨も少なくなり、西風も弱まる。3月中旬から縄文号とパクール号のテスト走行を始めた。実際に走らせてみて、欠陥を探し出さなければならない。初めは夕方に2時間ほど走らせることから始めた。2艇のスピードの差は想定内のことだ。縄文が4~5km/時の時にパクールは6~8km/時のスピードがでている。風が弱いと途端にスピードは落ちる。

 期待していなかったが嬉しい性能も分かった。船体が重たいので、パドルで漕いでも推進力に影響はないだろうと思っていた。しかし、風がない、あるいは弱い時に漕ぐと、両艇ともに1~2km/時のスピードアップが見込めた。出航当初の4月は風が弱い。帆走と漕ぐ力の併用で進むことになりそうだ。

 カロロ(ラヌ椰子の葉を織った布)の帆はしっかりと風を受けていた。古式三角帆は意外と簡単に操作できる。舟を作ってくれた棟梁のカマ・ダルマが1人で舵をとりながら、方向転換して、帆の向きを換えるというパフォーマンスを見せてくれた。2人いればもちろんできるし、3人いれば楽々と方向転換ができそうだ。もちろん風が強く、海が荒れている時は3人はいたほうがいいだろう。

 縄文号のアウトリガーの両側フロートが常時海水に漬かっていた。これでは抵抗が大きく、スピードを落としてしまう。出航までに少し高くすることにした。