ベルフォヤンスク山脈に現れたオーロラ。ここは世界で一番寒いと言われている山脈だ。シベリア、サハ共和国にある。氷点下50度c、60度cにも下がる。熱帯とか温帯では標高が高くなるほど気温が下がる。ところがここでは標高が低い場所のほうが寒いのだ。冷たい空気のほうが重たいので、冷気は下にたまるからだという。ここでトナカイぞりに乗って移動して、シベリアン・ビッグホーンという動物を狩った。ヤクート人のハンターとその出現を待つのだが動くな、咳するな、話すなと言われ、じっと待つ。寒さの中でも動ければ身体があったまるのだが、動けないと辛い。ほんの少しだけ、足や腰を浮かせたりして足腰の筋肉、腹筋を使って血の巡りをよくして身体を温めた。
最後の夜オーロラ爆発が起こった。いつもの黄、黄緑の光だけでなく、赤、紫の光の乱舞が全天に広がった。それも形や色を変えながら数時間続いた。凍える寒さの中、夢中でシャッターを切ったが、ヤクート人ハンターたちは「ウン、またか」と言いたげにハンター小屋から出てこなかった。