公開講座・対談:「高槻成紀×関野吉晴、リンク(生き物のつながり)を求めて」地球永住計画連続講座「賢人に訊く」、武蔵野美術大学 三鷹ルーム  2018年4月12日(木)19:00〜

IMG_5551川の中で戯れるゾウ

地球永住計画 賢人に訊く 〜高槻成紀×関野吉晴〜
「リンク(生き物のつながり)を求めて」

2018年4月12日(木)
午後6時半開場 午後7時開始
三鷹ルーム(東京都武蔵野市中町1-19-3武蔵野YSビル6F)
問合せ080-5019-0153

お申込みページ
http://kokucheese.com/event/index/511060/

高槻成紀(たかつきせいき)
1949年鳥取県出身。1978年東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。東北大学助手、東京大学助教授(1994-2007)、教授(2007)、麻布大学教授(2007-2015)を歴任。専攻は野生動物保全生態学。ニホンジカの生態学研究を長く続け、シカと植物群落の関係を解明してきた。
最近では里山の動物、都市緑地の動物なども調べている、一方、スリランカのアジアゾウ、モンゴルのモウコガゼル、タヒ(野生馬)、モンゴル草原の生物多様性などの研究もした。

著書に「北に生きるシカたち」(どうぶつ社)「野生動物と共存できるか」「動物を守りたい君へ」(岩波ジュニア新書)「シカの生態誌」(東大出版会)「唱歌「ふるさと」の生態学(ヤマケイ新書)」「タヌキ学入門」などがある。最近は玉川上水のタヌキを中心とした身近な動植物の繋がりを市民、学生と共に調査している。「都会の自然の話を聴く」彩流社2017。現在は麻布大学「いのちの博物館」上席学芸員、武蔵野美大非常勤講師(生態学)。

★メッセージ★
 学生時代にであった金華山島とそこの動植物を観察することから生態学の研究を始め、それは今でも続けています。生態学は自然をトータルにとらえようとする学問であり、博物学的な知識を必要とする学問でもあります。それだけに時間をかけて地道な調査が不可欠です。私は多くの人々の協力を得て、金華山のシカの頭数変動や植物への影響などについて息の長い研究をすることができました。また岩手県の五葉山のシカに取り組んでからは人の野生動物の問題の重大さに気づき、保全生態学的な研究にも力を入れるようになりました。東京大学時代に大学院生とおこなったヒグマ、ツキノワグマ、ジャワマングース、オガサワラオオコウモリなどの研究は保全を指向したものです。これらの研究のなかで哺乳類の食性がひとつの大きな比重を占めています。それは偉大な生態学者エルトンが指摘するとおり、動物の生活にとって「食」がきわめて大きな意味をもっていると考えるからです。そしてさまざまな哺乳類の食性を定量的に分析することに力をそそいできました。このことは消化器官の解剖学的特徴や、栄養状態、生息地選択、さらには種子散布など多くの研究テーマに展開しました。
 私は子供の頃から生き物が好きでした。小学生の時に蝶の採集や飼育に夢中になり、図鑑の記述を憶えていました。中学2年生のときに蝶と食草が対応しながら進化したのではないかと思い、九州大学の白水先生に手紙を書きました。大学ではシカの研究をしましたが、シカそのものではなく、植物とのつながりを調べました。自然界では動物と植物がつながって生きていることを実感していたからです。そのためにシカの食べ物を糞分析によって分析する方法を確立しました。それによりシカにとってササが重要であることを発見しました。学生を指導しながらアジアゾウ、モウコガゼル、タヒ(野生馬)、タヌキ、ツキノワグマ、テン、フクロウなどの食べ物を調べました。動物が食べること、食べられるとことは生物の進化の強い動因になっています。現在は玉川上水で同じ発想で調査をしており、身近な自然でもたくさんの面白い発見があることを伝えたいと思っています。

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