航海日誌 2011/5/13

 5時30分にClaveriaの近くから出発した。わずかな東風。天気は晴れ。Fuga島を目指す。潮流が助けてくれる。

 今日の日の出は印象的だった。熟した柿のような色の太陽が、はじめは海面を持ち上げるように、そしてスカートをはいたように上がっていった。

 研究者の中には日本人の祖先は南の海からやって来てはいないと言う人がいる。その大きな理由はわざわざ危険を冒して海を渡らないというものだ。

 風と潮をよく読めば海は我々に味方してくれる。海をなめてはいけないが、たっぷりと時間をかけて、海が微笑んでくれた時だけ移動すれば味方になってくれるのだ。我々の祖先は何世代もかけて南の海からやってきたはずだ。そのためには海や天候を読む力が欠かせないことはいうまでもない。

 出発しておよそ4時間。Fuga島がはっきりと見えてきた。ルソン島とFuga島の中間地点だろうか。珍しく縄文号が先行している。風は相変わらず弱い東風で、海は表面だけざわめいている。