地球永住計画、公開連続講座(明日15日火曜日!):「玉川上水生き物調べ・これまでにわかったこと」高槻成紀(麻布大学いのちの博物館)×進行・関野吉晴 2016年10月15日(火)18:00~

16-10-15

(明日15日火曜日!)

地球永住計画、公開連続講座:
「玉川上水生き物調べ・これまでにわかったこと」
高槻成紀(麻布大学いのちの博物館)×進行・関野吉晴

日時:2016年11月15日(火)18:00〜
場所:武蔵野美術大学1号館103教室
参加:自由(無料)

今年の春から、地球永住計画の活動のひとつとして玉川上水の動植物を調べはじめました。タヌキを主人公としていろいろな生き物のことを調べてきました。これまでにわかったことをご紹介します。

「玉川上水生き物調べ趣旨・高槻成紀(麻布大学いのちの博物館)」
地球永住計画の中で玉川上水の生物調査をするということで、お手伝いすることになった。動植物調査というと、どういう動物がいて、どういう植物があるかのリスト作りであることが多い。それは学校の先生が生徒の名前を覚える段階にすぎず、それでは生徒のことを理解したことにはならない。私は一部の動植物でよいからその生き様を描写するような調査をしたいと思った。そのために(1)タヌキを主人公とする。(2)玉川上水の特徴をとらえる調査をするという2つの課題にとりくんだ。「(1)」のタヌキは津田塾大学にいることが確認され、食性、行動圏などを調べている。またタヌキがいることが植物の種子散布に貢献していること、糞虫の生活を支えていることを明らかにした。このことから糞虫について、その分解能力や生息状況を明らかにした。「(2)」については、玉川上水が細かく、長いことに着目し、断面植生調査をし、狭い範囲で植生がガラガラと変化することを示した。また孤立緑地にくらべ、連続的であることの意義を示した。玉川上水の緑は原生的植生ではなく、管理されたものである。その管理のしかたによっては林が草地になり、野草がもどってくる。そうするとさまざまな昆虫が訪問するネットワークが蘇る。こうした調査は希少な動植物だから調査するのではなく、むしろ「ありふれた生きもの」だからこそ価値があるという精神に支えられている。玉川上水はそのような自然を調べるのに理想的な存在である。そのことを専門家ではなく市民の手で進めたい。